1. はじめに
WEB接客ツールを導入する際、多くの企業や宿泊施設が「シナリオの作り方」で悩みます。
単にポップアップを表示すればいいわけではなく、誰に、どのタイミングで、どんなメッセージを出すかが重要です。
そのためには、ユーザーがサイトを閲覧している状況を理解する仕組みを知る必要があります。今回の記事では、シナリオ作成の前提として、WEB接客ツールがどのようにターゲットを判別して表示を行うのか、具体的な仕組みを解説します。
2. ターゲット判別の仕組み
WEB接客ツールは、ユーザーをただの匿名の「訪問者」として扱うのではなく、行動や属性に応じて最適なシナリオを出すことができます。これを可能にしているのが、計測タグ、クッキー、URLパラメーター、サーバーの分析です。
2-1. 計測タグで行動を観察
サイトに埋め込まれている計測タグ(小さなプログラム)は、ユーザーがブラウザでどのページを見ているか、どのボタンをクリックしたか、ページにどれくらい滞在しているかをリアルタイムで監視します。
たとえば、宿泊サイトで「プランページを10分以上見ている人」は予約意欲が高いと判断でき、適切なシナリオを表示することができます。
2-2. クッキーでユーザーを識別
クッキーは、ブラウザに保存される小さなメモです。これによって、タグだけでは分からない「この人は初めて訪問しているのか、それともリピーターか」を識別できます。
過去の訪問履歴や、特定のキャンペーン経由かどうかもクッキーで記録できるため、ユーザーに合わせたメッセージを表示する際に重要な役割を果たします。
2-3. URLパラメーターとアクセス経路
広告やメールからの流入にはURLパラメーターが付与されていることがあります。
たとえば、?campaign=summer のようにURLに情報を付けることで、「このユーザーは夏キャンペーン経由で来た」と判別できます。
タグがこのパラメーターを読み取り、サーバーで分析することで、キャンペーンに合わせたシナリオを表示可能です。
2-4. サーバー側での判断
タグやクッキー、パラメーターで収集した情報は、WEB接客ツール側のサーバーで統合的に分析されます。サーバーは「誰にどのシナリオを表示すべきか」を判断し、ブラウザに指示を送ります。これにより、ユーザーごとに最適化されたポップアップやチャットがリアルタイムで表示されるのです。
3. シナリオ作成の前提
シナリオを作成する際には、次の要素を明確にしておくことが重要です。
3-1. 条件(ターゲティング)
-
ユーザー属性:初めての訪問者、リピーター、地域、デバイス
-
行動履歴:どのページを見たか、滞在時間、クリック状況
-
アクセス経路:URLパラメーターや広告経由
-
時間・タイミング:曜日や時間帯
3-2. 表示形式
-
ポップアップ
-
チャットボットのメッセージ
-
バナーやお知らせバー
-
ページ内コンテンツの差し替え
3-3. 表示場所
-
ブラウザ画面上(PC/スマホ)
-
サイト内の特定ページや全ページ
3-4. 表示タイミング
-
ページ読み込み直後
-
ページ滞在時間が一定以上
-
スクロール位置
-
離脱検知(マウスカーソルが閉じるボタンに向かうなど)
3-5. 表示期間
-
常時表示
-
キャンペーン期間中のみ
-
特定の時間帯だけ
4. 具体的な流れイメージ
-
ユーザーがサイトにアクセス
-
タグがブラウザ上で行動を観察
-
クッキーでユーザーの状態を識別
-
URLパラメーターやリファラ情報を確認
-
サーバーで収集データを統合分析
-
条件に合致すれば、ブラウザにシナリオを表示
このように、「誰に、どこで、いつ、どの方法で、どの期間」表示するかを決める指示が、WEB接客シナリオの基本です。
5. まとめ
WEB接客のシナリオ作成は、単なる「メッセージを出す」作業ではありません。
-
タグやクッキーでブラウザ上の行動を把握
-
サーバーで分析して条件に合ったユーザーを判別
-
ポップアップやチャットなど最適な方法でリアルタイムに表示
これらの仕組みを理解しておくことが、シナリオ作成の前提となります。
次回以降は、この基礎を踏まえて、実際にどのようにシナリオを設計すれば効果的かを解説していきます。
コメント