【WEB接客|導入前 #02】WEB接客ツール導入前に確認しておく項目

― 計測タグの設置と事前データ整理 ―

WEB接客ツールを導入する際、最初の重要なステップが「計測タグの設置」です。
このタグが正しく動作しなければ、サイト訪問者の行動データを取得できず、WEB接客の効果測定も行えません。導入後に「データが取れていなかった…」というトラブルを防ぐためにも、導入前に必ず確認しておくべきポイントを整理しておきましょう。

■ 計測タグは「全ページ」が原則

WEB接客ツールの計測タグは、基本的に自社サイト内のすべてのページに設置する必要があります。
宿泊施設であれば、「宿情報ページ」「プランページ」「アクセス」「お知らせ」などの自社サイト上の全ページだけでなく、予約システムのページも含まれます。

ここで注意したいのが、ほとんどの宿泊施設では「自社サイトのドメイン」と「予約システムのドメイン」が異なるという点です。
例えば、

  • 自社サイト:www.example-hotel.jp
  • 予約システム:reserve.sample-system.com

といったように別ドメインで構成されている場合、ツールによっては異なるドメイン間の計測に制限があることがあります。
このため、導入を検討しているWEB接客ツールが「クロスドメイントラッキング」に対応しているか、あるいは「別ドメイン追加に費用がかかるか」を必ず確認しておきましょう。場合によっては、予約システム側のドメイン追加に別途有料オプションが発生するケースもあります。

■ タグ設置の可否と費用の確認

タグの設置自体は、基本的に自社サイトの管理会社予約システム提供会社の両方に依頼する必要があります。
その際、それぞれの会社で「外部タグを設置できるか」「設置依頼に費用が発生するか」を確認しておくことが大切です。

予約システムによっては、セキュリティ上の理由で外部タグの設置を制限している場合もあります。導入後に「予約ページだけ計測できない」という事態を防ぐためにも、導入前の段階で関係者間でしっかりすり合わせをしておくことが望ましいです。

■ Googleタグマネージャー(GTM)を活用すれば効率的

もし既にGoogleタグマネージャー(GTM)を利用している場合は、非常にスムーズに設定を進められます。
GTM上にWEB接客ツールのタグを追加し、発火条件を「全ページ」に設定することで、一括でタグ設置を完了させることができます。
また、タグの動作確認もリアルタイムで行えるため、技術的な不具合にも素早く対応できます。
導入にあたり、まずはGTMの有無を確認し、未導入であればこの機会に設定を検討するとよいでしょう。

■ データ計測範囲の理解を深める

宿泊施設の場合、「計測の範囲」は自社サイトのみにとどまりません。
予約システムまでを含めて、訪問から予約完了までの一連の行動データを取得できるかどうかが、WEB接客の成否を左右します。

WEB接客は単なる“ポップアップ表示”ではなく、訪問者の行動を「計測」し、「分析」し、「最適な接客を提示」する仕組みです。
そのため、計測範囲を正しく設定しておくことが、後々のシナリオ設計や効果測定に直結します。

■ 導入前に整理しておくべき自社データ

計測タグの設定が完了したら、実際にWEB接客を始める前に自社サイトの現状データを整理しておくことをおすすめします。
以下の指標は、WEB接客導入前後の効果を測定するうえで欠かせない基礎データです。

  • 流入数(セッション数、ユニークユーザー数)
  • 閲覧数(ページビュー数)
  • 平均閲覧時間(1ページ・全体)
  • 直帰率(特にTOPページ)
  • デバイス別構成比(スマートフォン/PC)
  • 月間予約数(自社予約・OTA含む)

これらの数値は、GoogleアナリティクスやWEB接客ツールの管理画面で取得できます。
ツールによっては導入直後から上記データを自動で記録してくれるものもあります。

■ 「接客を始める前」の計測期間を設ける

多くの施設で見落とされがちなのが、「接客前データの蓄積期間」を設けることです。
タグが正常に動作していることを確認したら、すぐにポップアップなどの接客施策を実施するのではなく、1〜2週間ほど接客を行わずに計測を続ける期間を設定しましょう。

この「非接客期間」のデータがあることで、

  • 接客前後のユーザー行動変化
  • コンバージョン率(予約率)の向上幅
  • サイト内導線の改善効果

といった比較分析が可能になります。
半年後や1年後に成果を振り返る際にも、非常に貴重なベースデータとして活用できます。

■ まとめ

WEB接客ツールの導入前は、技術的な設定だけでなく「何をどこまで計測するか」を明確にしておくことが大切です。
特に宿泊施設では、自社サイトと予約システムの両方をカバーできるかが鍵になります。

導入前に確認しておくべきことは以下の通りです。

  1. 計測タグを全ページに設置できるか
  2. 異なるドメイン間での計測が可能か(費用の有無も確認)
  3. 自社サイト・予約システムそれぞれの管理会社で設置が可能か
  4. Googleタグマネージャーの有無
  5. 接客開始前に、現状データを整理しておく

これらを押さえておけば、導入後の運用がスムーズに進み、正確なデータを基に改善を重ねることができます。
次回は、実際に計測が開始された後、どのようにデータを活用して運用を始めていくかを解説します。

職業:旅人|Sueyoshi Hidenori

ブログをご覧いただきましてありがとうございます!職業:旅人|末吉です。当ブログでは日々のWEB接客運用で感じた気づきや小さな発見を記すログ。宿の現場から生まれる改善アイデアを、自分用の備忘録として残しています。

コメント

この記事へのコメントはありません。

関連記事

【WEB接客|導入前 #01】WEB接客ツールって、何を選べばよいのか

【WEB接客|導入前 #03】シナリオ作成の基本とターゲット判別の仕組み

PAGE TOP